2017/08/26
記憶力の衰えを感じた著者が、やたらと記憶力を伸ばす方法を試したレポ
薬なんかまで。
実際には、情報処理のスピードは二○代から落ちはじめ、それとともに記憶力や注意力もゆっくりと衰えている。ただ若いころは、予備のニューロンがたくさんあるから、能力低下をすぐ実感することがないだけだ。しかし四○代なかばぐらいになると、脳の活動がピークだった二○代はじめとは明らかに差が出てくるし、それ以降は一直線の下り坂になる。
一度にいくつもの作業をするマルチタスクが当たり前になっているから、実はそれが非効率だということを認識するには、頭の切りかえが必要になる
年をとった脳にはブドウ糖不足がかなりこたえるので、回復に時間がかかる。学習や記憶に関係する神経伝達物質のアセチルコリンを、ニューロンが確実に放出できるかどうかは、血液中のブドウ糖濃度で決まる。おなかがからっぽの状態では、覚えることも、思いだすことも難しいのだ。
記憶力改善プログラムで指導される食事は、メニューを見ているだけで賢くなれそうだ。タンパク源は脂肪の少ないものを選び、炭水化物はオートミールやブラウンライス、全粒粉のパスタ、大麦、ひき割り小麦、小麦粒、雑穀など、多糖類と呼ばれるものを中心にする。
ブルーベリーは低温で保存しないと、抗酸化作用はなくなってしまうんだ
「農業・食品化学ジャーナル」に載った抗酸化食品リストでは、シナモンやターメリックといったスパイス類がベスト5にランクインしていた。カレーを毎日食べているインドでは、アルツハイマー病の発症率がアメリカの四分の一だという。
リンゴをたくさん食べさせたマウスは、迷路テストで明らかに成績がよかったし、学習と記憶に欠かせないアセチルコリンの濃度も高くなった。
トランス脂肪酸を減らし、必須脂肪酸をたくさん摂取するように心がければ、ニューロンの細胞膜はみずみずしい状態をとりもどせる。
「イメージ連想法」だ。覚えたい情報に視覚的なイメージをくっつけておくと、記憶として定着しやすくなる。
カッッはこの本のなかで、目を閉じるか、目かくしをしたまま、門から玄関まで歩いてみることを提唱している
「出勤前の準備をしているとき、「用紙を持っていかなくちゃ』と自分に言いきかせるだけではだめ。感触を思いうかべるんです。
子どものころおでこを強打すると、長期的な悪影響があるという研究報告もある。
最近の研究では、脳しんとうのあとで偏頭痛が起こるようだとlたとえそれが一週間後でもl、脳は完全に回復しておらず、反復的な損傷が起きる危険が高いという。
最初の数日間はさんざんだった。ときには神経衰弱のようになり、これでどうして思考が明せき蜥になるのか想像もつかなかった。
ところが一週間もすると、効果がはっきり現れてきた。脳のなかで歯車がかみあって、まとまりがついてきた感じだ。仕事は快進撃だった
アデロールの服用をはじめて一ヵ月が過ぎ、おろしたてのパーティードレスのように新鮮だった自分の認知能力が、足になじんだスニーカーになったころ、私は生活に何かが欠けていることに気づいた。鬼のようにバリバリ働くことはできるのだが、人間としての当たり前の要求が消えているのだ。
たとえば、空腹を覚えることがない。
を遊ばせて、とりとめもなく考えごとをする喜びも失われた。要するにいつでもスイッチオン、パワー全開状態なのだ。
アデロールの効果が切れる夕方五時ごろには、私の気分はどん底になる。疲労がひどく、神経が張りつめて、不機嫌になるのだ。息子たちにも、ユーモアをどこかに置き忘れていると言われた。
アデロールがすっかり抜けたころ、私は直感と創造性が高まっていることに気づいた。
アデロールやプロビジルはたしかに衝動性を抑えてくれる。だがその反面、アイデアを意外なかたちで結びつけたり、融合させたりする独創性にもブレーキをかけてしまうのではないだろうか?
私はある研究論文を見つけた。脳損傷のせいで注意散漫や活動過多になっている人は、どんなにがんばっても瞑想できないというのだ。慢性的な睡眠不足も同様で、リラックスした瞬間、意識が飛んでしまうという。この可能性について、なぜ誰も私に教えてくれなかつたのか。